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1. ○○をシステムとして、その構造を理解する。

世界はどのように出来ているのだろうか?

ここで、「世界」とい言葉を使うと、人により何をイメージするかに違いがある。ある人は、国家の集まったものをイメージするだろうし、地球をイメージするかもしれない。また、違った視点として、犬の世界や昆虫の世界のようなものをイメージする人もいるだろう。他にも、陽子、中性子、電子でできた世界をイメージするかもしれない。これらは、違ったものであると考える人も多いと思う。それらは、科目でいえば、社会であり、理科であり、生物である。しかし、ある視点から見ると、バラバラであるように見えるものが、決してそうではないことが分かる。それを可能にするのが、システムとしての視点である。

下図は、いろいろな法則を物理学から、社会科学まで、並べたものである。物理学のエネルギー保存の法則や万有引力の法則は、地球上の全ての物体に作用しているものである。これらの法則は、地球上のあらゆるものに影響している。これらは、無機物である石や水にもあてはまると同時に、ミトコンドリアやバクテリアをはじめ、猫や犬、そして私たち人間など有機物にもあてはまる。





 左下から、地球上の全ての物体従っている法則の代表的なものを記載しています。エネルギー保存の法則や万有引力の法則は、それにあたります。これは、無機物、有機物に関わらず関係しているといえます。次に、有機体についての法則を考えています。有機体は、岩や金属といった無機物に比べ、非常に壊れやすい性質を持っています。この壊れやすい性質であるが、複製する能力を手に入れたもの、それが有機体であるといえます。現在知られている地球上の生物は、同じ記号を用いて、その構造を記述しています。これらを、この図では、有機体の行動原理、遺伝子の行動法則と記述しています。
 生物は、進化してきました。この進化に意志が存在するかどうか、それは、現時点では分かりません。そこで、ここでは、意志が存在しないものとして考えています。進化は、有機体が一定期間存在する。少なくとも分子として存在する必要があります。そして、その存在の後、複製を行います。この複製には、ゆらぎが入ります。ゆらぎにより、元と違った有機体が発生し、それが、環境の中で、一定期間存在し、次の複製を行います。この過程を繰り返し、生物は進化してきたと感がられます。膨大な量の複製と、生存による淘汰。これを進化と考えています。
 最近の研究では、蚕の脳の情報処理と行動について、面白い知見が得られています。触角(センサー)からのパルスを脳で電気処理し、それを手足に、電気情報で伝えている。このような生物の基本的情報処理の仕組みが研究されているます。ここから、いろいろな知見を得ることができ、また、この知見は、人間にも当然ながら、関係があります。生物として、脈々と進化してきた人類は、これら、昆虫が行う情報処理と原理的に同じであると考えられるからです。
 そして、蜂や蟻は、生存するための新たな仕組みを私たちに示しています。同じ遺伝子を持ちながらも、体を変え、行動を変える、分業体制に入っています。女王蜂、働き蜂、戦闘蜂、生殖蜂など、同じ蜂でありながら、明確な役割分担を行い、種としての環境への対応、生存確率の向上を行っています。これは、人類の社会における役割分担を考えるうえで、多くの示唆を与えてくれます。決して、差別的に述べるつもりはありませんが、人間は、遺伝子的内容によって、その特徴に多様性を持たせています。具体的に、筋肉にも種類があり、持久力に優れた筋肉を多くつくる遺伝子、瞬発力を多く作る遺伝子が分かってきており、これらは、後天的努力とはまた、別の次元にあります。身体的特徴が違うことは、見た目にも違い、多くの人に納得いただけることがらだと思いますが、それ以外にも、性格的な特性の違いも、遺伝的な情報に幾分依存しています。遺伝的、先天的と、後天的影響を私たち個人は、受けています。これらが、どの特質で、どの程度違うのか、という厳密なことは、この分野に任せるとして、ここでは、特に気にしません。ただ、そのようなことが、種族の中に多様性を生み、組織として効率を上げ、種族としての生存確率をあげているといえます。これは、社会学や組織行動、また、経済学などにも関係する事柄です。
 生物進化の一つの末裔である人類、そしてその人類がとる社会行動は、生物としての進化とは切り離すことができず、また、生物は、存在するという点において、無機物とつながり、化学や物理的法則を無視することはできません。これらは、非常に距離が遠いのですが、実は、システムという視点から見た場合、その層(レベル)が違うものの、非常に似ている。いえ、どこを切り取っても、システムとしての性質を持っていると言えます。

それでは、次に、筆者が考えているシステムとは何かについて述べたいと思います。

世の中の様々な事柄や現象を理解するには、それらをシステムとしてとらえると分かりやすくなる。
システムの定義は、人や分野により、違いがあるが、ここでは、システムとは、「要素と要素、そしてその関係」と考えることにする。
その意味では、ソフトウェアエンジニアリングで用いらる、E-R(Entity-Relationship) Diagram は、システムを現わす(記述する)のに、適している。 E-R Diagram では、Entitiy, Rerationship, Attribute で物事を表現する。 さらに、Event もしくは、Process があると、時間軸が表現できるようになるので、下図では、Event/Process も合わせて表記している。







世の中を理解するための法則

1.世の中は、止まるこができない。
2.存在するということは、低エネルギーで一定期間、安定できる構造にあること。
  2.1 組織化/自己組織化は、集まることにより、全体としての低エネルギーで維持できる構造体を作ることである。
3.生存とゆらぎのある複製のサイクルが生命体であり、進化の仕組みである。
  3.1 DNAは、いつ、どこで、どのように、たんぱく質等を生成するかの設計図である。
  3.2 DNAは、ゆらぎおよび交配によってできた多様性を内在しており、身体的特徴および性格の多様性を生む。
4.判断するには、エネルギーを要する。
  4.1 脳の処理は、化学反応と電気処理によって行われている。
  4.2 全ての条件を考え、全ての選択肢を吟味することは、組合せの発散があり実現不可能である。
  4.3 脳は、エネルギー消費の観点から、精度の比較的高いと思われる近似値解を出すアルゴリズムを選択することになる。
  4.4 脳は時系列を認識し、将来を予測しながら処理をする。
5.有機体の死は、不全によるシステム機能の停止によって起こる。



Appendix A: Additional Law.

A1. 大脳皮質が働かないことが快感である。
  A1-1 酸欠状態により、その状態が引き起こされることがある。



 
Kino Research Laboratory, 2011-2018.