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研究の進め方について |
研究を始める時は、どのようなテーマを設定すればよいか、また、どのように研究を行い、学術論文を書けば良いか迷う場合があります。そこで、そのような時に、参考になるようにポイントをまとめてみました。(なお、この内容は、私の認識であり、分野や先生方によって、ポイントが違う場合もありますので、あくまでも参考と考えてください。)
ちなみに、企業での仕事のやり方と大学での研究のやり方は、基本的に同じです。
【学術論文執筆のポイント】
学術論文に必要となるのは、大きく分けて、以下の3要件です。
1.新規性
2.有用性
3.信頼性
2番は、人により、いろいろな視点があるので、必ずしも高い有用性を主張する必要はありません。
重要なのは、1番で、これは、先行研究との比較によって、主張することが多いです。 通常、2章にあたります。
そして、外してはいけないのが、3番目の信頼性です。
研究は、どの学問分野も似ていて、
A. データ
B. 分析方法
C. 結論
となるのですが、信頼性は、
A.データの信頼性を確保すること、
B. 分析手法の正しさの確保、 論理展開の正しさ を確保すること
論理展開の正しさは、通常、文章間の論理の飛躍がないかを確認します。
また、分析手法選択の客観性なども重要です。
C. 結論は、過大評価がないことが重要です。
また、そのデータ・分析(すなわち研究)の限界(適用できる範囲)を明確にします。
なお、上記以外に、「D. 実験の再現性」が問われることもあります。
実験の再現性とは、論文を読んだ人が、同じ実験ができるように、きちっと書かれている必要があるというものです。第三者が同じように実験ができ、同じような結論になることが、担保されていることが必要です。
なお、論文は、正しさは、論文の中で客観的に自らが証明するものという視点が必要です。正しさを証明する方法としては、おもに、
1.帰納法
2.演算法
があります。これは、古代ギリシャ哲学の流れです。、博士の学位が Doctor of Philosophy の場合が多くありますが、それは、この古典ギリシャ哲学(論理学)を理解し、それにのっとて論理展開ができる、ということの意味もあります。
なお、ページの半分くらいまで読むので良いと思いますが、少し参考にしてください。
http://www.snap-tck.com/room04/c01/stat/stat01/stat0109.html
【研究の進め方】
私が考える、研究のプロセスを以下に記します。
(1) テーマを決める。 タイトルを文字に書き出してみましょう。
(2) そのテーマの背景を明確にします。 さらに、そのテーマの課題を明確にしましょう。
当然ながらそれも文章にします。
(3) その課題をどのように解くのか、自分自身のアイデアを書き出します。
※ 先行研究の調査を実施すると、自分のアイデアが先行の研究に引きづられますので、
ここで、不完全ながらも、自分の考えを、紙に書き出しておきましょう。
(4) 先行研究を調査します。
(5) (3)のアイデアをさらに練っていきます。 <=ここが研究の本筋です。
※ ここで用いる解決法が、客観的で、誰が見ても、納得できるように論理立てをし、実験や実証を行います。
※ 社会科学系では、アンケートによる仮説検証法を用いることが多くありますが、それでないといけない
ということはありません。 事実(事象)からの客観的整理と論述、シミュレーション、実験などの方法もあります。
(6) (3)を除く、上記プロセスを、納得のいくまで繰り返しましょう。
=プロセスはここまで=
【論文:章立ての目安】
以下は、おおよその論文の流れの目安です。全体の分量やテーマにより、章を合体させたり分解して調整ください。
1.はじめに
2.この論文で取り組む課題
3.これまでの先行研究
4.研究の中身 (研究の手法、実際の研究作業、制約など)
5.結果の分析、考察
6.まとめ
※ 実際の研究では、課題1-> 研究実施1-> 分析1-> 課題2-> 研究実施2-> 分析2-> 課題1->
…
というような場合も、課題1,2,3 は課題の章に、研究実施1,2,3 は研究の中身の章に、分析1,2,3 は、
結果の分析、考察の章にまとめます。
【プレゼンテーションにおける注意点】
1. エディトリアルなこと
1.1 発表時間 (厳守です。)
1.2 フォントサイズ と 色
文字を少なく、キーワードで記述するのが、望ましいです。
フォントサイズは、大きく。
黄色、緑などの淡い色は、読めないことがあります。
2. 中身
- 分野の違う人にも、研究の概要が理解できることが重要です。(分かりやすさ)
- 構成が論文として、一般的な形に構造化されていることが重要です。
2.1 課題、目的 は、簡潔に述べられていますか?
第三者が資料を見て、パっと理解できますか?
2.2 必要な関連研究(Related works)が適切に述べられていますか?
これは、自身の研究の位置づけ、新規性を述べる根拠になります。
2.3 研究 (実施したことの説明) 当然これが中心です。
簡潔に適切に説明してください。
具体的な成果物を見せながら、説明すると、聴いている方は、イメージがしやすくなります。
(特に技術者の人は、概念の説明だけでなく、具体的なものを表示してください。)
必ずしも、時系列の説明が分かりやすいとは限りません。
どうすれば、分かりやすいかじっくり検討ください。
2.4 評価
研究で実施した内容が、客観的に正しいのか、価値があるのかを自ら評価します。
※ 100%完全な評価は出来ないことがほとんどですが、
一般的に認められた方法により評価するか、可能な限り客観的評価が
できるように工夫をしてください。
研究の制約事項、限界を明記します。
2.5 まとめ
ポイントを押さえ、全体をおさらいします。
3. その他
研究は、その過程において、正しくデータを処理していることが求められます。
研究の過程において、予期しない知見や不都合なデータが出てくる場合もありますが、
隠さず、そのまま発表ください。
☆ MBA-IB のビジネスプロジェクトでは、研究が、どのように会社、もしくは社会に価値を
持つのかも重要です。 必ず、簡潔に述べられるように意識してください。
【その他メモ】
- 研究の進め方を身につけること、論文を書くことは、ビジネス社会でも役に立ちます。
- 因果関係、論理展開に注意しましょう。
(2012-09-14 Last Update 2013-1-18)
文字データの分析(最初の第一歩)
研究課題を決めて、いざ、研究をはじめると、どこから手をつけて良いかわからないことがあります。その時は、次のようなことをとっかかりと実施してください。
1.課題にとりあげた内容の現状、実例を収集し、整理しましょう。
2.課題の実例から原因を類推し、その原因を分類していきます。
3.分類を基礎に、メカニズムを検討します。
このように、順に分析作業を進めていくことにより、さらに研究内容が明確に見えてくると思います。
(2013-09-25)
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